【ミニコラム】売上1,000万円以下の「偽装」は一発アウト!所得税と消費税で明暗が分かれた税務調査の事例
【ミニコラム】売上1,000万円以下の「偽装」は一発アウト!所得税と消費税で明暗が分かれた税務調査の事例
【参照条文】
国税通則法第68条《重加算税》
消費税法第2条《定義》、第5条《納税義務者》、第9条《小規模事業者に係
る納税義務の免除》
※本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により
別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください。(2026.4.6)
個人事業主にとって、消費税の納税義務が発生するかどうかのボーダーラインである「売上高1,000万円の壁」。
これを巡り、「消費税を払いたくないから」と売上を1,000万円以下に調整して申告し続けた清掃業のオーナーの事例をご紹介します。
税務調査の結果、「所得税」と「消費税」で驚きの異なるジャッジ(明暗)が下されました。
([1]令和元年分から令和4年分までの所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分・一部取消し、[2]令和3年及び令和4年の各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分・棄却・令和7年4月11日裁決)
事件の概要:売上を低く偽って申告
ある清掃業の個人事業主は、「消費税を払いたくない」という理由から、本当の売上をノートに正しく記録しつつも、確定申告の際にはわざと売上を1,000万円以下に減らして提出していました。
その後、税務調査が入り嘘が発覚。税務署は「悪質な隠蔽(いんぺい)だ」として、一番重いペナルティである「重加算税」を所得税と消費税の両方に課しました。これに対して事業主が「重加算税は重すぎる!」と訴えたのが今回のケースです。
国税不服審判所が出した、驚きのジャッジがこちらです。
1. 【所得税】は重加算税「ナシ」に減額!
- 結果: 重加算税は取り消され、普通のペナルティ(過少申告加算税)に。
- 理由: 事業主は、税務調査が来たときに本当の売上が書かれた「本件ノート」を素直に提出し、調査に協力しました。審判所は「嘘の申告をしたのはダメだけど、調査で証拠のノートをすぐ出したのだから、事実を完全に隠そう(隠蔽・仮装しよう)とまでは言えない」と判断したのです。
2. 【消費税】は重加算税「アリ」で確定!
- 結果: 言い分は却下され、重いペナルティのまま。
- 理由: 消費税において「売上が1,000万円以下かどうか」は、税金を払う義務があるかを決める最も重要な境界線です。ノートを提出したかどうかに関係なく、「売上を1,000万円以下に改ざんして、免税事業者のフリをし続けたこと」そのものが、消費税のルール上、極めて悪質な偽装行為にあたると厳しく判断されました。
非常に重いペナルティになって返ってきます。正しく帳簿をつけ、正しく申告することの大切さがよくわかる事例です。